群馬県中之条町の横手山にヘリコプターが墜落した事故で、群馬県は11日、乗り込んでいた9人全員の死亡を確認したと発表した。

ヘリは群馬県の防災ヘリコプター「はるな」JA200G号機。運航は東邦航空(東京・江東区)が担っており、機長の天海(あまがい)紀幸さん(57)と整備士の沢口進さん(60)の2人は同社の社員だった。

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ヘリは10日午前9時15分、群馬県の防災航空隊員4人を乗せて前橋市内のヘリポートを飛び立った。20分後に群馬県長野原町の西吾妻福祉病院で吾妻広域消防本部の5人を拾った。県境を飛行中、午前10時1分にGPSの通信が途切れた。

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群馬、長野、新潟県境の約100キロに及ぶ稜線を結ぶ「ぐんま県境稜線トレイル」が「山の日」の11日に全面開通することを受け、事前に上空から確認する任務中だった。

東邦航空は昨年11月8日、群馬県上野村でもヘリの墜落し、乗員4人全員が死亡する事故を起こした。機体修理の際にテールローター(後部回転翼)のベアリング部品を交換しなかったなど、多数の整備規定違反が確認され、今年2月、国土交通省から事業改善命令を受けていた。東邦航空はその後、改善計画を提出し、機材の一斉点検を実施したが、再び悲劇は起きてしまった。

東邦航空は1960年設立。報道機関のヘリの操縦も担っている他、八丈島を起点に1993年から伊豆諸島の6島を結ぶ国内唯一のヘリコプター定期路線「東京愛らんどシャトル」を運航していることでも知られる。同社は10日、「皆様には多大なご迷惑をお掛けし申し訳ございません」と謝罪文を発表した。

トレイルオープニングイベントは中止

ぐんま県境稜線トレイル」は予定通り、11日に全線開通した。しかし、同日午前9時から谷川岳天神平特設会場で行われる予定だったオープニングセレモニーは「都合により」中止となった。

山は天候が急変する。たとえベテランであっても難しい判断が迫られる。新たな登山道を祝うおめでたい席が、暗雲が包まれた。

視界不良で異常飛行か

【2018/08/14追記】
運輸安全委員会の調査では、墜落事故により、機体前部にある操縦席の計器類がつぶれて破損していたことが判明。GPS(全地球測位システム)の運航記録を分析すると、墜落直前の午前9時59分に突然、右に急旋回していた。

その直後、時速20~75キロの間で速度を上下させ、通信が途絶える間際の20秒間、30キロから145キロまで急加速する異常飛行を繰り返していた。現場付近は当時、霧に覆われており、視界が遮られ、正面から斜面に激突したと考えられている。

【2018/08/15追記】
群馬県警は15日、搭乗者全員の死因が外傷性ショックだったことを明らかにした。

「予定通り到着」と嘘の報告

【2018/08/16追記】
墜落事故をめぐり、群馬県が事故当日の午後11時19分、ヘリが群馬ヘリポートに到着したと国土交通省航空局に嘘の通知していたことが発覚した。国交省が16日発表した。ヘリが飛行計画とは異なるルートを飛んでいたことも明らかになり、群馬県に対し文書で行政指導した。

ヘリは上記の通り、10日午前10時1分にGPS通信が途切れた。しかし、群馬県防災航空隊に派遣されていた東邦航空の社員が、到着予定時刻(午前11時15分)を過ぎてから無事到着した旨をパソコンで送信した。ヘリに異変が起きたとの一報を国交省に報告したのは午後0時11分で、災害救助の初動が大きく遅れることになった。

国交省によると、群馬県側から提出されていた飛行計画では、西吾妻福祉病院を経由して5人を乗せることが記されておらず、群馬ヘリポートを出発して山道を視察後、折り返して戻ってくるルートだった。この飛行計画を提出したのも、同じ東邦航空の社員だったという。

国交省は正しい飛行計画が提出されていれば、10日午前11時24分には捜索を始めることができたとみており、第一報を受けた午後0時11分から逆算して47分のタイムロスが生まれた。

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