佐賀随一の豪華なパフェを堪能した後、われわれは買い出しに向かった。

温泉旅館に泊まる時は、事前にスーパーに寄って、酒やおつまみを買い込む。これが、いつもの旅のスタイルである。

できるならば、地場スーパーが良い。道なりに車を走らせ、フロントガラスから見えたのがこちらだった。


「ディスカウント ドラッグ コスモス」。

旅の醍醐味の一つ、地酒を安く買いたいと思って入ったのだが、残念ながら日本酒売り場は極小。ほぼ全国展開銘柄だった。

コスモスは、福岡市に本社を置くコスモス薬品(東証1部上場)が運営。西日本を中心に838店舗もあるため、ある程度画一化された品ぞろえになっているのだろう。しかし、店舗網は岐阜県が西端のため、東日本では全く見ることはない。西日本を代表するドラッグストアと言った方がいいかもしれない。

大雨の中、わざわざ車を停めて何も買わないのも、と思ったので、飲料コーナーの棚を物色すると、安いのがあった。

1.5リットルの三ツ矢サイダー(新搾りレモンとZERO STRONG)がなんと税込108円。


(思わず買い込んだ三ツ矢サイダー。無事、家まで持ち帰ることができた。)

帰りのフライトがANA(全日本空輸)であるため、行きの春秋航空日本のように、重さを気にする必要もない。ということで思わず、買い込んだ。何とも生活感あふれる買い物である。

(帰り際、車に乗り込む前にもパシャり。大雨につき、やや雑な写真だ)

結局、お目当ての地酒は買えなかったので、そのすぐ近くにある地場スーパーに駆け込むことに。その名はalta(アルタ)。佐賀市内に4店を構える。


こちらはアルタ高木瀬店。さすがに地元とあって、日本酒コーナーにも佐賀の酒が並ぶ。他にも佐賀の、広くいえば、九州の産品を買いたい!だんだん欲が出てくる。

悩んだ末に選んだのが、以下の4品だった。

(我慢できずに撮る前に開けてしまったものもが……)

■純米 東長(瀬頭酒造)
サントリー 熊本の晩柑&阿蘇の天然水(サントリーフーズ)
■有明産 おかずのり(サン海苔)
■めん茶漬け(みそ半)

これまでの旅の経験をもとに、勘で目を引いたものをカゴに放り込んだだけ。しかし、後で詳しく調べてみると、どれもストーリーがあって面白い商品だったので、ご紹介したい。

原敬が命名した地酒

まずは東長。あずまちょうと読み、瀬頭酒造(せとうしゅぞう)が醸造している。1789(寛政元)年創業の佐賀県嬉野市にある老舗酒造だ。

初代瀬頭多次兵衛が「丸平正宗」の銘柄で創業。東長は、1924(大正4)年に株式会社となったのを機に、時の首相、原敬が命名した酒なのだ。

原敬による命名以前はずっと「丸平正宗」という銘柄で酒を醸し続けてきた。
長崎で海軍大演習が行われた折に、当時の当主が原首相に招かれ、新たな名前を、と依頼。

原は酔い心地のさわやかさ、おおらかさを「アズマの国のオサ、すなわち東洋の王者にふさわしい」と褒め、 「東長」という名を授かったのだという。

さらに終戦直後の1945(昭和20)年、日本を統治したGHQ総司令部によって催されたパーティーで、「東長」はダグラス・マッカーサー元帥の目に留まり、GHQの指定酒にもなった。

地震からの復旧の象徴「阿蘇の天然水」

「サントリー阿蘇の天然水」は9月19日に販売を再開したばかりだった。昨年4月の熊本地震でサントリー九州熊本工場の操業が停止し、製造・販売を休止したが、ようやく復旧に漕ぎ着け、販売を再開する運びとなった。



ラベル側面には熊本県営業部長兼しあわせ部長の肩書きを持つ「くまモン」が!その頭の上にひょいっと水色のクマが描かれている。

これは「サントリー天然水」のブランドキャラクター「ミズクマ」で、熊本県ととともに九州エリアを盛り上げて行きたいという想いを表現した。

熊本県産の「河内晩柑」が使われており、サントリー天然水シリーズとしては初めてのエリア限定商品。九州でしか入手できない。

おかずのりを製造するサン海苔は、佐賀市に本社を置く。有明海の生産者が出資して設立。地元佐賀で半世紀の歴史がある。こちらは、写真に撮る前に食べてしまった!

めん茶漬けは、佐賀のお隣、長崎県は南島原市にある1867(慶応3)年創業の「みそ半」の商品。

長崎県島原地方は、手延べ乾麺の生産シェアで全国2位。ソラシドエアがラッピングしている(参考記事:「「空恋」が20機到達。くまモンから、そうめんまで!どこよりも詳しく振り返る)。

島原の手延べそうめんを夏以外にも手軽に食べてほしいと、お湯かけ3分の即席麺タイプに加工したという。手延べならではのコシとハリのある麺を再現。丸鶏を炊きだしたスープをベースにした、お茶漬け風の茶出汁が付属で付いている。

結果として、どれも九州ならではの品で、とてもいい買い物ができた。
われわれ夫婦は旅先で必ず地元のスーパーや市場に寄ることにしているが、それは未知の商品との出会いがあるからだ。

買い出しが済み、車はようやく目的地の嬉野温泉へ。時刻は午後5時20分。九州自動車道をひた走ると、曇天の空模様もあって辺りが一気に暗くなり、どんどん雨が強まってくる。疲れも出てきたので、川登サービスエリアでしばし休憩。

(川登サービスエリア。大雨で、レンズに水滴がついた)



やまや、福さ屋……佐賀のサービスエリアだが、お隣福岡が誇る明太子が幅をきかせていた。


グッズ売り場にも、右下に変なやつが!


何だこれは!?聖徳明太というキャラクターらしい。

明太子の聖地、福岡博多で生まれ育ち、ゆるキャラグランプリにも立候補福岡が好きやけん」と、頼まれてもい ないのに勝手に福岡をPR中で、五穀豊穣と無病息災を願い、 いつも福岡の街のどこかで「めんたいそう」を踊っているキャラクターだ。 手に持つしゃもじで頭を撫でられると、願いが叶うという都市伝説もあるらしい。

そんななかで気になったのは、


「たけおどら」である。

佐賀県武雄温泉のお土産で、サービスエリアではここでしか手に入らないのだという。

高速道路に乗ったときは、サービスエリアに立ち寄るようにしている。その土地の文化に気軽に触れられるからだ。
短いながらもリフレッシュし、運転を再開。

(高速道路を降りてすぐの大きな交差点。もう辺りは真っ暗だ)

嬉野温泉のホテルへ着いた時には、時刻は午後6時40分を指していた。