国内LCC(格安航空会社)にもついに再編の波が起きる。

統合するのは、LCCで国内2位のピーチ・アビエーションと3位のバニラエア(※)。いずれもANAホールディングスの傘下にあり、売上高を合算すると、ジェットスター・ジャパンを上回る(2017年本決算ベース)。


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※17年3月期の売上高はピーチが517億円、バニラエアが239億円で、計756億円。ジェットスター・ジャパンの17年6月期は売上高が528億円だった。ANAホールディングスはピーチの株式の67%、バニラエアは100%を保有する。

統合会社は20年までに発足

ANAホールディングスは中期経営計画でLCC事業を大きく伸ばす方針を示していた。20年度をめどにアジアの中距離線に参入するなどし、22年度にはLCC事業の売上高を17年比で2倍に引き上げる。2社の統合会社は20年までに誕生する見通しである。

航空需要が拡大しLCCが頭角を現すにつれ、世界の空はパイロット不足が深刻化している。統合により機材数は計34機(いずれもエアバスA320型機でピーチ20機、バニラエア14機)に増えるだけでなく、コスト削減や人材を融通し合えるなど、いわゆる「規模のメリット」も生まれる。

ピーチとバニラ、勢いの差は歴然

6年前、国内初のLCCとして関西空港で産声を上げたピーチ・アビエーションは那覇空港、仙台空港を次々空港と拠点化。18年度中に新千歳空港も拠点空港に加える予定だ。一方、旧エアアジア・ジャパンを前身とするバニラエアは拠点を成田空港のみに置いている。

国際線の数ではピーチの14路線に対し、バニラエアは今月25日開設の福岡—台北(桃園)線を加えて8路線。バニラエアはリゾート路線で独自性を出そうとしているが、運休と新規就航を繰り返すなど、路線をうまく拡大できていない状況が続いていた。

ピーチは国内線で3月1日に関空―新潟を開設し、8月1日には関空―釧路線への就航を予定するなど、順調に拡大路線を歩む。国際線も4月26日から那覇―高雄線に就航し、計15路線に増える予定だ。

統合後のブランド戦略はまだ検討中だが、勢いや知名度からしてピーチに一本化されるのが順当だろう。

エアアジアの例を挙げるまでもなく、アジアではLCCが猛威を振るっている。日本のLCCは規模、路線数ともに大きく遅れをとっているのが現状で、どこまで統合効果を出し、ライバルに食い込むことができるかが課題になる。

世界の流れからすると、むしろ遅すぎたともいえる再編劇。新会社が軌道にのる頃、日の丸ジェットはどこまで世界を席巻しているだろうか。

ピーチに一本化を発表

【2018/03/22追記】
ANAホールディングスが統合を正式発表。2019年度末(つまり20年3月ごろ)をめどにピーチに一本化することを明らかにした。

新生ピーチは2020年以降、50機超の機材で国内線、国際線合わせて50路線以上で日本とアジアを結ぶ計画。「路線ネットワークのさらに拡充し、アジアを代表するリーディングLCCを目指す」と力強く表明した。

また統合を見据え、ピーチの出資比率を77.9%まで引き上げる(現在は上記の通り67%)。今年4月にファーストイースタンアビエーションホールディングス(FE、香港)から保有株の一部を113億円で取得することで合意。これによりピーチの資本構成はANAホールディングスが77.9%、FEが7.0%、産業創出支援機構が15.1%になる。

統合によるコスト削減も進めながら新生ピーチは2020年度に売上高1500億円、営業利益150億円規模に高めるという。つまり、売上高ベースでみても今後3年間で現在の2倍以上だ。

この目標をみる限り、海外のライバル勢に対抗するにはやはりいち早く数千億円企業にならざるを得ないことを示す。後戻りはできない挑戦がいよいよ始まる。