大幅遅延に部品落下。日本の2大エアラインが1週間のうちにそろってトラブルを起こした。

ANA(全日本空輸)は21日午前9時50分ごろ、成田発香港行きNH809便で出発直後に客室内に煙が充満。出発を取りやめた。

機材はボーイング767-300型機で、137人(乗員10人、乗客127人)が搭乗していた。少なくとも6人が体調不良を訴えたが、病院に搬送された人はおらず、けが人もいなかった。

7時間遅れで出発

ANAは別機材を使って約7時間遅れの午後4時48分に成田を出発。折り返しのNH810便も香港を約11時間遅れの翌午前1時47分に出発と、大きくダイヤが乱れた。

ANAによると調査の結果、電力を供給する機体後部の補助動力装置が損傷し、内部の潤滑油がエアコンシステムに流入。客室内のエアコンの吹き出し口から霧状となって流れ込んだことご原因と判明した。

ANAは「ご搭乗いただいておりましたお客様をはじめ関係者の皆様に対し、ご心配ならびにご迷惑をおかけいたしました事を深くお詫び申し上げます」とのコメントを出した。

JALは重大インシデント

JAL(日本航空)のトラブルは24日の熊本発羽田行きJL632便で発生した。

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(写真は別空港で撮影したJALの機体)

午後3時55分ごろ、離陸直後、上昇中の機体で異常な振動が発生し、熊本空港に引き返した。左エンジン後方のタービンブレードなどが損傷し、部品の金属片が多数落下。付近の医院の窓ガラスが割れるなどの実害が出た。

運航機材はボーイング767-300型機で、乗員8人、乗客209人の計217人が搭乗。けが人はいなかった。

このトラブルにより、熊本空港の滑走路は一時閉鎖。緊急着陸後、エンジンを覆うケースに目視でも分かる約9センチほどの細長い穴が見つかった。

国土交通省は部品の破片によって貫通したとみて、事故につながりかねない「重大インシデント」に認定。運輸安全委員会の航空事故調査官3人を25日に派遣し、26日まで2日間の現地調査に当たった。

調査では、空港のある熊本県益城町を中心に、空港から南西に約7キロ離れた300メートル四方の23カ所で、5〜8ミリの属片98個を回収した。医院の窓や車3台、建築中の建物5件に被害が及んでおり、今後は飛行記録の解析やエンジンの分解調査を進め、事故原因の特定を目指す。

JALの説明では、損傷した左エンジンは1993年から使用。これまでに3万2800回、7万800時間飛行した。今年3月に内視鏡検査を実施したが異常は見つからなかったという。離陸前の点検でも問題ないとの認識だった。

JALは25日に熊本市内で記者会見し、再発防止に努め、被害者への補償を進める意向を示した。同型機のエンジンを全70基保有しており、その全ての内部を内視鏡で検査するとも発表。まずは、しばらく検査していなかった46基を優先し5月末までに検査を終える予定だ。

JALは2月末、10年後の目標を示した「グランドデザイン」を初めて公表した(以下の関連記事を参照)。航空事故ゼロ、重大インシデントゼロを掲げていたが、早くも目標未達となった。

JALは27日、「お客さまおよび益城町の住民の皆さま、ならびに関係の皆さま方に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」とのコメントを出した。

いずれもけが人はいなかったが、大事故につながりかねなかった事例といえる。現場の機転で、飛び続けなかった判断を下せたのは不幸中の幸いだった。

トラブルから5日、社長が初訪問

【2018/05/29追記】
JALの赤坂祐二社長は29日、益城町役場を訪れ、西村博則町長に対し謝罪した。赤坂社長が今回のトラブル後、同町を訪れるの初めてで原因究明と再発防止を誓った。

赤坂社長によると、JALでは400回飛行するごとにエンジン内部を精密検査していた。今回問題となったエンジンは386回目のフライトだったという。今後、さらに短い間隔での点検を検討する。

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