日本から宇宙旅行を目指すプロジェクトが加速する。

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有人宇宙機開発のスタートアップ「PDエアロスペース」(名古屋市)が5月31日、総額5億2000万円を調達した。2023年の有人宇宙飛行を目指し、まずは19年に無人宇宙航空機で宇宙空間に飛び出し、高度100キロまで到達後、帰還する計画を描いており、新型エンジンや機体の開発、開発拠点の整備に充てる。

飛行実験では段階的に3種類の無人飛行実験機(X05、X06、X07)を作る。X05が「飛行特性確認用」、X06が「音速試験用」、X07が「高度100キロ到達用」で徐々に高度と速度を上げていく。X07は全長8メートル、全備重量3.5トンとなる。

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資金は、ANAホールディングスやエイチ・アイ・エス(HIS)など5社を引受先とする第三者割当増資で調達した。

ANAホールディングスが2億円、HISグループが1億9880万円を16年10月に続き追加で出資。新たな出資者として、HISグループのハウステンボスと、オプティマ・ベンチャーズ、みずほキャピタルが運営する「みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合」が加わった。

計画では、PDエアロスペースが有人宇宙機を開発し、ANAホールディングスが宇宙機のオペレーションをサポート。HISが宇宙旅行、宇宙輸送サービスの販売を担う。ANAホールディングスは社員を1人派遣し、宇宙機開発を支援している。

HISによると、ハウステンボスも主力のエンターテインメント事業に生かすコンテンツの開発などで協業する可能性があるという。

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PDエアロスペースは昨年7月、世界で初めて1つのエンジンで、ジェットエンジンの機能とロケットエンジンの機能を切り替える実験に成功した。

敷地8倍、15人を新規採用


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(敷地面積が8倍に広がる新R&Dセンター)

新たに調達した資金をもとに、愛知県碧南市のR&Dセンターを8倍の広さの敷地に移転し、エンジニアを含む新メンバーを15人採用する。


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(新たな組織体制例)

今後さらに出資者を募り、開発スピードを上げる。ふるさと納税やスポンサー協賛など、資金調達手段も多様化させ、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、大学、企業、自治体(愛知県、碧南市、名古屋市)などとの共同研究、協業体制を強化する方針だ。

緒川修治社長は「ハイリスクな宇宙輸送機の開発に参加いただき、非常に心強い限り。新しい時代に向けて、一日も早く、宇宙輸送の一翼を担えるようになるべく、引き続き全力で取り組む」と決意を込めた。

JALはispaceと資本提携

ANAホールディングスは2018〜22年度の中期経営戦略で、Society 5.0(超スマート社会)に向けた新市場、需要創出の一つに「宇宙旅行や高速輸送」を挙げている。

JAL(日本航空)も宇宙旅行を目指し、月面探査を目指す宇宙スタートアップ「ispace」(東京・港区)と資本提携を結んだ。

航空大手2社がそれぞれ別ルートで挑む「宇宙旅行」。ライバルがひしめくなか、日本が先駆けて実用化できれば、歴史的な偉業となる。

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